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脳卒中後遺症 肩・腕の機能改善 自宅リハビリのポイント

Tags: 脳卒中, 自宅リハビリ, 肩, 腕, 機能改善

脳卒中後遺症 肩・腕の機能改善 自宅リハビリのポイント

脳卒中によって肩や腕に麻痺やその他の機能障害が残ると、日常生活の様々な動作に影響が出ることがあります。着替え、食事、入浴、そして仕事に関わる動作など、腕や手の機能は多くの活動の基盤となるからです。

この記事では、脳卒中後遺症により肩や腕の機能改善を目指す方に向けて、自宅でできるリハビリの基本的な考え方と、取り組む上での重要なポイントについて解説します。専門家による指導のもとで行うリハビリを補完する情報として、日々の取り組みにお役立てください。

肩や腕の機能改善が重要な理由

脳卒中後遺症による肩や腕の機能障害は、単に腕が動かしにくいというだけでなく、様々な困難を引き起こします。例えば、

これらの日常生活動作(ADL: Activities of Daily Living)の自立度を高め、社会参加を促進するためには、肩や腕の機能回復に向けたリハビリが非常に重要になります。

自宅でできる肩・腕リハビリの基本

自宅でのリハビリは、病院や通所施設でのリハビリの時間を補い、回復を促進するために有効です。取り組む上で以下の点を意識することが大切です。

  1. 専門家との連携: 必ず医師や理学療法士、作業療法士といった専門家の評価に基づき、個人に合ったメニューや強度で行ってください。自己判断での無理なリハビリは、痛みを増悪させたり、かえって機能回復を妨げたりする可能性があります。
  2. 安全の確保: 転倒しない、物を落として怪我をしないなど、周囲の環境を整え、安全に配慮して行います。
  3. 継続: 短時間でも良いので、毎日継続することが効果につながります。日々の生活の中にリハビリの時間を組み込む工夫をしましょう。
  4. 代償動作に注意: 麻痺側が動かしにくいからといって、非麻痺側の腕だけで全ての動作を行ったり、不自然な体の使い方(代償動作)を癖づけたりしないよう注意が必要です。可能な範囲で麻痺側を使う意識を持つことが、機能回復には不可欠です。

具体的な自宅リハビリメニュー例

自宅でできる肩・腕のリハビリは、機能障害の程度や種類によって異なりますが、一般的なメニューとしては以下のようなものがあります。

関節可動域訓練(ROM訓練)

関節が固まらないように、痛みを感じない範囲でゆっくりと動かします。

筋力強化訓練

麻痺側の筋力維持・向上を目指します。軽負荷から始め、徐々に強度を上げます。

協調運動・巧緻性訓練

複数の関節や筋肉を協調させて滑らかな動きを行う練習です。

日常生活動作(ADL)練習

リハビリで改善した機能を使って、実際の生活動作の中で積極的に麻痺側を活用します。

痛みへの対応

脳卒中後遺症では、肩関節周囲の痛み(脳卒中肩、複合性局所疼痛症候群など)が生じやすいことが知られています。痛みが強い場合は、無理に動かさず専門家に相談してください。

効果を高めるための工夫

自宅リハビリの効果をさらに高めるために、以下の点を意識してみましょう。

まとめ

脳卒中後遺症による肩や腕の機能回復は、日々の継続的なリハビリによって促進されます。自宅でのリハビリは、専門家による指導のもと、安全に配慮しながら、ご自身のペースで無理なく続けることが大切です。

この記事でご紹介したポイントやメニュー例を参考に、日々の自宅リハビリに取り組んでみてください。小さな進歩の積み重ねが、日常生活の質の向上や社会復帰への大きな一歩につながります。ご自身の体と向き合い、諦めずにリハビリを継続していきましょう。